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最高人民法院知識産権法廷年度報告(2019)(抜粋)


一、裁判の職能に立脚し、典型的な模範の役割を強化し、技術類の知的財産権事件の裁判基準を更に統一する
 
特許などの技術類の知的財産権事件の裁判基準を統一することは、最高人民法院知識産権法廷(以下「法廷」)設立の重要な目標である。2019年、法廷は司法裁判の職能に立脚し、法律に基づき技術専門性の高い知的財産権事件を公正且つ効率的に審理し、典型的な模範の役割を持つ一連の示範判決を形成し、「統一裁判標準システムプロジェクト」を建設・実施し、技術類の知的財産権事件の裁判基準の統一を更に推進した。
 
(一)裁判の職能に立脚し、事件を公正に審理する

2019年の法廷による技術類の知的財産権事件受理件数は1945件、結審件数は1433件、結審率は73.7%であった。そのうち、民事第二審実体事件受理件数は962件、結審件数は586件であった。行政第二審事件受理件数は241件、結審件数は142件であった。管轄権異議第二審事件受理件数は481件、結審件数は446件であった。その他事件の受理件数は261件、結審件数は259件であった。


1.事件データの統計分析

(1)事件の出所に関する統計分析

2019年の法廷による各種第二審事件受理件数は1684件であった。事件の第一審裁判所が中級人民法院であったのは1678件で、99.6%を占めており、第一審裁判所が高級人民法院であったのは6件で、0.4%を占めている。

地域別から見ると、事件受理数ランキングの上位10裁判所は北京知識産権法院(376件)、広州知識産権法院(297件)、上海知識産権法院(143件)、南京知識産権法廷(107件)、深セン知識産権法廷(96件)、寧波知識産権法廷(85件)、蘇州知識産権法廷(71件)、杭州知識産権法廷(70件)、青島知識産権法廷(67件)、済南知識産権法廷(53件)の順であった。上記データは、技術類の知的財産権紛争の全国の分布状況を反映しており、経済が発達している地域であればあるほど、技術類の知的財産権に関する経済活動がより活発であり、関連紛争も多くなることを示している。
(2)事件の種類に関する統計分析

法廷が受理した962件の民事第二審実体事件のうち、実用新案権侵害紛争は454件、特許権侵害紛争は234件、コンピューター・ソフトウェア紛争は142件で、特許代理、許諾契約紛争は40件、技術契約紛争は26件、植物新品種権紛争は20件、技術秘密紛争は12件、独占禁止紛争は9件、特許出願権と特許権帰属紛争は9件、権利非侵害確認訴訟は8件、職務発明者報酬紛争は7件、集積回路配置図設計紛争は1件であった。そのうち、割合が比較的に高い紛争の種類は、実用新案権侵害紛争(47.2%)、特許権侵害紛争(24.3%)、コンピューター・ソフトウェア紛争(14.8%)であった。


法廷が受理した241件の行政第二審事件のうち、権利付与・権利確定に係る行政事件は230件、行政処罰事件は7件、その他行政事件は4件であった。権利付与・権利確定に係る行政事件のうち、特許権無効審判審決取消訴訟は80件、特許拒絶査定審決取消訴訟は71件、実用新案権無効審判審決取消訴訟は57件、実用新案拒絶査定審決取消訴訟は9件、意匠権無効審判審決取消訴訟は13件であった。上位を占める紛争の種類は、特許権無効審判審決取消訴訟(33.2%)、特許拒絶査定審決取消訴訟(29.5%)、実用新案権無効審判審決取消訴訟(23.7%)である。



(3)裁判の結果に関する統計分析

2019年の法廷による第二審事件結審件数は1174件であった。うち、原判決維持は731件、訴訟取下げは280件、調停は71件であり、調停・取下げ率は29.9%であった。原判決変更・差戻しは92件で、7.8%を占めている。92件のうち、民事第二審実体事件は66件、管轄権異議第二審事件は21件、行政第二審事件は5件であった。


法廷による民事第二審実体事件結審件数は586件であった。うち、原判決維持は236件、訴訟取下げは213件、調停は71件であり、調停・取下げ率は48.5%であった。原判決変更・差戻しは66件で、11.3%を占めている。

法廷による行政第二審事件結審件数は142件であった。うち、原判決維持は126件、訴訟取下げは11件、原判決変更は5件で、3.5%を占めている。

法廷による管轄権異議第二審事件結審件数は446件であった。うち、原判決維持は369件、訴訟取下げは56件であった。取消し・変更は21件で、4.7%を占めている。



(4)審理期間の統計分析

2019年の法廷の平均審理期間に関して、第二審実体事件は73日、管轄権異議第二審事件は29.4日であった。結審数に関して、裁判官一人当たり39.2件を結審した。


(5)渉外、香港・マカオ・台湾関連事件の統計分析

2019年の法廷による渉外、香港・マカオ・台湾関連事件受理件数は174件であった。うち、民事第二審実体事件は50件、行政第二審事件は52件、管轄権異議第二審事件は71件、その他事件は1件であった。地域別から見ると、EU加盟国は75件、米国は54件、日本は15件、韓国は4件、カナダ、イスラエルはそれぞれ2件、オーストラリア、南アフリカはそれぞれ1件、香港・マカオ・台湾は20件であった。

渉外、香港・マカオ・台湾関連事件結審件数は98件であった。うち、実体事件結審件数は35件、外国側当事者の勝訴(一部勝訴を含む)は21件、香港・マカオ・台湾側当事者の勝訴は3件、大陸側当事者の勝訴は11件であった。



2.事件の特徴分析

(1)事件全体の特徴

2019年、法廷が審理した技術類の知的財産権事件は全体的に以下の特徴を持っている。例えば、技術分野が広いこと、社会的影響が大きいこと、手続きが交錯する事件が多いこと、審理期間が短いこと、国内外当事者の合法的権益を平等に保護すること、司法保護の強化などの特徴である。

一、技術分野が広い。当事者が保護を求める知的財産権の種類は、医薬、遺伝子、通信、機械、農業林業など国計民生、先端科学技術、衣食住と密接する分野に渡っている。

二、社会的影響が大きい。事件が関連する知的財産の市場価値は高い。権利者が第一審で主張した権利侵害の賠償額が1000万人民元を超えた事件は17件、1億元を超えた事件は3件であった。また、事件は標準必須特許、医薬特許などの先端科学技術及び国計民生に関連するため、社会に注目される。

三、手続きが交錯する事件が多い。法廷は多くの競争的な相互訴訟事件を受理した。当事者が異なる裁判所で多数の民事、行政訴訟を相互に提起したため、異なる審級及び手続きに係る関連事件が多い。法廷は裁判手続き、裁判基準、全体的な調停など多方面から扱いを調整し、2019年結審した第二審事件の調停・取下げ率は29.9%に達し、良好な成果を収めた。

四、審理期間が短い。民事と行政の手続きの交錯や技術的事実の究明の難易度が高いなど多様な要素があるため、技術類の知的財産権事件の審理期間は一般に長期化するが、2019年、法廷が結審した第二審実体事件の平均審理期間はわずか73日と短縮され、技術類の知的財産権事件の裁判長期化問題が有効に改善された。

五、国内外当事者の合法的権益を平等に保護する。法廷が受理した渉外、香港・マカオ・台湾関連事件は全体の8.9%を占めており、一部の事件が当事者間の国際訴訟の一部に属し、外国での特許侵害訴訟と相互に影響し合っている。法廷は法律に基づき、国内外の各種市場主体の知的財産権を同一視し、平等に保護することを堅持している。

六、司法保護を強化する傾向が明らかである。誠信訴訟制度を運用し、文書提出命令の履行を拒否した、故意に被保全製品を毀損した場合、当該行為者に不利な事実推定が行われる。結審事件のうち、権利者が勝訴した事件は全体の61.2%を占めている。
 
(2)特許民事事件の特徴

法廷が審理した特許民事事件は以下の特徴を持っている。

一、クレームの解釈と均等侵害判断を主要な論争とする事件が多い。クレームの解釈は、特許権保護範囲の確定と侵害比較の結果に関係するため、法廷は個別事件の裁判を通じ、機能的特徴の認定標準、テーマ名称が請求項の権利範囲に対する限定の役割、寄付原則の適用などの方面から深く探索した。多数の事件が均等侵害判断問題に関連しており、請求項開示の役割を維持すると共に、特許権者に平等な保護を与えることが事件審理の難点である。

二、合法的出所、従来技術、先使用権による抗弁は最もよく見られる抗弁事由である。合法的出所の提出による抗弁の事件が最も多く、立証責任の配分、賠償責任の免除の範囲などに争点が集中している。従来技術による抗弁の提出は比較的に自由であり、当事者は第二審において初めて当該抗弁を提出した事件が一定の割合を占めている。

三、商業上の権利保護関連事件が一定の割合を占めている。これら事件は、権利者が1件の特許で全国各地において一連の訴訟を行い、関連特許の多くは実体審査を受けていない実用新案であり、訴えられた権利侵害者の多くは商品流通の下流に位置する小規模の販売業者であるという特徴がある。
 
(3)特許行政事件の特徴

法廷が審理した特許行政事件は以下の特徴を持っている。

一、発明特許、ハイテク分野の事件が多い。三種類の特許に最も技術的要素を有する発明特許の事件数は、無効審判審決取消訴訟、拒絶査定審決取消訴訟の中にいずれも首位となり、イノベーションの主体と関連公衆の特許価値に対する重視を示している。技術分野では機械分野の事件数が最も多いが、無効宣告事件では電気分野と機械分野の事件数が並んで最も多く、通信技術、コンピューターなどのハイテク分野の紛争も多い。化学分野の無効宣告事件数は全体的に多くないが、医薬、バイオ技術などの重要産業分野に集中している。

二、多くの事件は進歩性判断を主な争点としている。進歩性判断に関する事件は92件で、結審した特許行政事件全体の約70%を占めている。第一審判決取消し・変更の事件のうち、進歩性判断に関する事件が80%を占めている。法廷は同種の事件を審理する際、「スリー・ステップ法」で非自明性を判断し、ビジネスの成功要因などの補助的判断の適用の規範化、化合物薬物の新結晶型、生物材料寄託などの発明の進歩性判断に対する探索に取り組み、本当に価値のある発明が法律に保護されることを保証する。

三、拒絶査定審決取消訴訟のうち、自然人が出願人である事件が多い。法廷が結審した57件の特許拒絶査定審決取消訴訟のうち、自然人が出願人である事件が75%以上を占めており、ほとんどは進歩性がないため、少数は実用性がなく権利付与のテーマに合致しないため却下された。特許行政訴訟の起訴期限の算定方式を誤って理解したため、起訴が却下された事件の10件のうち、出願人はいずれも自然人であった。
 
(4)コンピューター・ソフトウェア事件の特徴

法廷が審理したコンピューター・ソフトウェア事件は以下の特徴を持っている。

一、事件の種類が比較的に集中している。コンピューター・ソフトウェア事件は主に契約事件と権利侵害事件の2種類を含む。そのうち、コンピューター・ソフトウェア契約事件はコンピュータソフトウェア事件全体の80%以上を占めている。

二、論争の焦点が比較的に集中している。特に、コンピューター・ソフトウェア契約事件の争点は、開発成果の引き渡しの有無、引き渡し内容が約束に従うかどうか、履行中の変更が合意されているかどうか、履行遅滞がどのように認定されるべきかなどの問題に集中している。

三、審理難易度の差が大きい。コンピューター・ソフトウェア権利侵害事件のうち、ソフトウェアの権利侵害に対する双方の技術的事実の論争が大きい場合、往々にして複雑なソースプログラムの比較に関連するため、審理の難易度が非常に高い。逆の場合は難易度が低い。コンピューター・ソフトウェア契約事件のうち、契約の約束があいまいで契約書の履行基準が確定しにくい場合、審理の難易度が高く、逆の場合は難易度が低い。
 
(5)管轄事件の特徴

法廷が審理した管轄事件は以下の特徴を持っている。

一、事件数が多い。訴訟の策略、管轄規則の複雑性、管轄の連結点がより多いなどの要素に基づき、訴えられた権利侵害者は知的財産権事件の中で、管轄権異議に対してより大きい争論空間がある。

二、新しい難問が多い。例えば、独占契約紛争の管轄は契約中の仲裁条項に適用するかどうか、共謀による独占契約の行為実施を独占禁止紛争の管轄の連結点とすることができるかどうか、販売業者を起訴しない場合、ネットワークプラットフォーム業者が管轄の連結点であるかどうか、権利非侵害確認訴訟の中、特許権者が主張する侵害行為の実施が管轄の連結点であるかどうかなどの難問である。これらの問題は科学技術、商業モデル及び権利保護実践の発展に伴い、技術類の知的財産権事件の管轄が日々複雑化、多様化していることを反映している。

三、司法的態度は比較的に寛容である。管轄権異議第二審事件結審件数446件のうち、取消し・変更はわずか21件で全体の4.7%にとどまった。権利者の訴訟権利の合法的行使を保護し、司法競争を適度に促進するため、権利者の事件管轄の連結点の選択に対し、法廷は比較的に寛容な司法態度を持ち、権利者の紛争管轄裁判所に対する選択権を尊重している。
 
(6) その他事件の特徴

法廷が審理した植物新品種権事件は以下の特徴を持っている。

一、関連する品種は人々の日常生活と密接な関係がある。例えば、トウモロコシ、水稲、柚、花卉などである。

二、技術的事実の究明は難しく、特に「同一性」の判断が難しい。

三、事件が関連する法律問題の多元化。例えば、訴訟主体の資格、品種権の保護範囲、合法的出所による抗弁、権利侵害の賠償額などである。法廷が審理した技術契約事件の多くは違約行為の審査・認定を審理の重点とし、技術事実の究明は違約行為の認定に重大な影響を持つことが多い。法廷が審理した技術秘密事件は、関連する手続き問題が多いため、手続きに関する規則が更に明確にされている。
 
日時:2020年4月16日
出所:知産力



 
 

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