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ガイド:意匠権を証拠として発明特許の進歩性を評価するとき、図面に開示される内容は直接的かつ一義的に確定できるものでなければ...
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最高人民法院知識産権法廷年度報告(2020)(抜粋)


2月26日付、最高人民法院知識産権法廷より『最高人民法院知識産権法廷年度報告(2020)』が公表された。同報告には、同法廷が昨年取り扱った事件に関する統計データ及び種類別の事件の特徴などの内容が含まれている。その抜粋した内容は、以下のとおりである。
 
1.事件の件数が急増し、裁判の品質と効率が持続的に向上する

1)事件の基本統計データ

2020年、法廷の技術類の知的財産権事件の新受件数は3,176件であり、既済件数は2,787件であった。新受件数に対する既済件数の比率は88%であり、結審率は76%であった(2019年からの繰越事件512件を含む)。2019年に比べると、事件の受理件数は1,231件増加し(同63%増)、結審件数は1,354件増加した(同95%増)。

民事二審実体事件の新受件数は前年比102%増の1,948件であり、前年より986件増加した。行政二審事件の新受件数は前年比178%増の670件であり、前年より429件増加した。

民事二審実体事件の既済件数は前年比197%増の1,742件であり、前年より1,156件増加した。行政二審事件の既済件数は前年比248%増の494件であり、前年より352件増加した。
 
2)裁判官1人あたりの結審件数と平均審理期間に関する統計データ

2020年、裁判官1人あたりの結審件数は前年比73%増の82.5件であった。民事二審実体事件の平均審理期間は121.5日で、行政二審事件の平均審理期間は130.7日であった。
 
3)事件の種類に関する統計データ

1,948件の民事二審実体事件の新受事件のうち、特許権侵害紛争は435件、実用新案権侵害紛争は754件、特許出願権と特許権帰属紛争は163件、コンピュータ・ソフトウェア紛争は360件、技術契約紛争は67件、技術秘密紛争は44件、植物新品種権紛争は40件、独占禁止紛争は30件、集積回路配置図設計紛争は5件、その他の紛争は50件であった。前年と比べ、民事二審実体事件の新受件数は102%増加し、特許出願権と特許権帰属紛争は前年の9件から163件に急増し、紛争全体に占める割合は4位となった。また、技術秘密紛争、植物新品種権紛争と独占禁止紛争及び集積回路配置図設計紛争などの技術専門性の高い紛争事件の件数は前年より明らかに増加した。

670件の行政二審事件の新受事件のうち、権利付与・権利確定に係る行政事件は622件、行政処分類の事件は17件、その他の行政事件は31件であった。権利付与・権利確定に係る行政事件のうち、特許拒絶査定審決取消訴訟は226件、実用新案拒絶査定審決取消訴訟は18件、意匠拒絶査定審決取消訴訟は2件、特許権無効審判審決取消訴訟は175件、実用新案権無効審判審決取消訴訟は149件、意匠権無効審判審決取消訴訟は52件であった。前年と比べ、行政二審事件の新受件数は178%増加した。意匠権無効審判審決取消訴訟は前年の13件から52件に増加し、顕著な伸びを示した。
 
4)裁判の結果に関する統計データ

2020年、法廷の結審件数は2,787件であった。そのうち、原審維持は1,667件、訴訟取下げは539件(許可された訴訟取下げと訴訟のみなし取り下げを含む。許可された訴訟取下げ事件には、法廷の主宰の下に民事事件の当事者が和解に達し、訴訟は取下げられた場合が多い)、調停は158件で(民事調停調書が発行された場合)、調停・取下げ率は25%であった。差戻し・改判は405件で、差戻し・改判率は15%であった。その他は18件であった。

結審された1,742件の民事二審実体事件のうち、原審維持は779件、訴訟取下げは463件、調停は158件で、調停・取下げ率は36%であった。差戻し・改判は339件で、差戻し・改判率は19%であった。その他は3件であった。

また、結審された494件の行政二審事件のうち、原審維持は430件で、訴訟取下げは22件、取下げ率は5%であった。差戻し・改判は39件で、差戻し・改判率は8%であった。その他は3件であった。
 
5)渉外、香港・マカオ・台湾関連事件の統計データ

2020年、法廷の渉外、香港・マカオ・台湾関連事件の受理件数は前年同期比116%増の376件で、受理件数全体の12%を占めている。そのうち、民事二審事件の受理件数は228件、行政二審事件は148件であった。

法廷の渉外、香港・マカオ・台湾関連事件の結審件数は前年同期比187%増の281件で、結審件数全体の10%を占めている。そのうち、民事二審事件の結審件数は185件、行政二審事件は96件であった。
 
2.事件の係る分野の特徴が顕著で、保護強化の方向性が際立つ

1)事件全体の特徴

2020年、法廷が審理した技術類の知的財産権事件は、全体的に以下の特徴を持っている。

①実体事件の件数が急増した。二審実体事件の新受件数は前年同期比118%増の2,618件であった。そのうち、行政二審事件の新受件数は670件であり、前年同期の2.8倍に達し、増幅が最も大きかった。民事二審実体事件の新受件数は1,948件で、前年同期の2倍以上であった。

②新しい技術分野や新業態に係る事件が比較的に多かった。戦略的新興産業に係る事件の受理件数は478件で、受理件数全体の13%を占めている。そのうち、次世代情報技術産業に係る事件の受理件数は276件、バイオ医薬に係る事件は94件、ハイエンド装備製造産業に係る事件は50件、省エネルギー・環境保護に係る事件は33件、新材料産業に係る事件は21件、新エネルギー産業に係る事件は3件、新エネルギー自動車産業に係る事件は1件であった。上述の事件の種類は中国の技術イノベーション及び市場競争の実際の状況と一致している。

③社会からの関心度が高い。法廷が受理した事件は、先端科学技術から日常の衣食住まで関わっており、国家と業界の基準、有名な企業及び有名な製品に関連するため、社会的影響が大きく、関心度が高い。事件の開廷審理の動画の平均視聴回数は1万9000回余りで、視聴回数が10万回を超えた事件は47件であった。

④権利者利益への保護を強化する方向性が顕著である。民事事件において、法廷は法に基づき、証拠保全や現地調査などの措置を積極的に講じ、書証提出命令、立証妨害責任の負担などの訴訟制度を法により適用し、「立証が難しい」問題を着実に緩和させる。そして、懲罰的賠償の適用を模索し、権利者利益への保護を強化し、侵害行為を抑止することによって、「賠償が低い」問題の効果的な解決を図る。行政事件において、特許出願が拒絶査定されるべきではない、又は特許権の有効性が維持されるべきことを証明するために、当事者より提出した新しい証拠に対して、法廷は通常、審査を行う。登録査定の合理性を確実に保証し、社会イノベーションを促進するため、当事者が技術常識又は慣用手法に関する決定の認定を認めない場合、法廷は通常、行政機関に証拠の提出又は合理的な説明を要求する。
 
2)特許民事事件の特徴

①実用新案権侵害紛争が事件全体に占める割合は減少し、その割合が2019年の47%から2020年の38%に下がった。

②特許出願権と特許権帰属紛争の件数が2019年の9件から163件に急増し、主に職務発明、技術秘密侵害、技術契約の3種類の基礎法律関係に関わっており、特許権が企業経営に対する重要性だけでなく、企業利益の保護と従業員の職業選択の自由との間の複雑な課題も反映している。

③特許の権利保護一括事件の件数が低減し、法廷の関連措置による初歩的な効果が見られる。2020年下半期の権利保護一括事件の件数は、2019年同期の124件から40件に大幅に減少した。法廷は、権利保護一括事件を同じ合議体で審理し、「法に基づき合理的に規制し、源流管理を奨励し、商習慣を尊重し、信義誠実を提唱する」という司法政策を確立し、賠償基準の差別化、賠償金額の精緻化を通じて、権利侵害の発生元にさかのぼって権利保護を求めようと積極的に権利者を導き、権利濫用を防止するなど、それらの関連措置による積極的な効果が既に見られている。

④複雑な技術的事実の究明問題に係る事件が増えた。特許や先端技術分野に係る事件の割合が増加するとともに、権利侵害の対比や公知技術の抗弁に関する技術的事実の究明は一層複雑となった。法廷は、技術事実の調査において、専門家からの協力を求めようと積極的に当事者へ提案し、場合によって、技術調査官の事件審理への参加も手配する。

⑤行政機関が知的財産権の権利侵害で訴えられるケースが増えた。一部の地方行政機関は、公共管理及びサービスを提供する時に、技術の普及を幇助し、又は入札過程において発明の使用を指定したなどによって、侵害行為に関与したと訴えられ、民事訴訟の共同被告となった場合がある。
 
3)特許行政事件の特徴

①係る技術分野が広く、特許の種類が主に発明である。技術分野は、機械、電学、通信、医薬、化学、光電、材料などのすべての分野をカバーしており、そのうち、機械分野が占める割合が比較的に大きい。係る特許の種類は主に発明であり、続いては実用新案と意匠である。発明特許拒絶査定審決取消訴訟と発明特許無効審判審決取消訴訟は401件で、特許の権利付与・権利確定事件に占める割合が65%であった。市場主体は発明特許に集中しており、中国が特許大国から特許強国へ転換していくことを示している。

②事件の争点は主に進歩性と新規性に係るものである。特許の権利付与・権利確定事件において、争点が進歩性、新規性に係る事件は90%以上を占めており、そのうち、進歩性に係る事件が主である。他の争点は、実施可能要件違反、サポート要件違反及び新規事項の追加などに係るものである。

③裁判の差戻し・改判率の絶対数値が比較的に低いが、同期に比べると、明らかに増加した。行政二審事件の結審件数は494件で、差戻し・改判は39件で、差戻し・改判率は8%であった。絶対数値は特許民事事件より低いが、前年度の特許行政事件の差戻し・改判率(3.5%)に比べると、倍増した。

④控訴人は主に特許権者、特許出願人である。法廷が結審した444件の特許の権利付与・権利確定事件には、特許権者、特許出願人による控訴事件は377件で、84.9%を占めている。無効審判の請求人による控訴事件は44件で、9.9%を占めている。国家知識産業局による控訴事件は30件で、6.8%を占めている(複数の控訴人による控訴の場合を含む)。
 
4)植物新品種権事件の特徴

①係る植物の種類は豊富である。係る植物の新品種は、トウモロコシ、水稲、小麦、綿、唐辛子、イチゴ、キュウリなどがある。

②事件の種類が比較的に集中している。事件の種類は権利侵害紛争、契約紛争及び植物新品種出願権の帰属紛争などで、そのうち、権利侵害紛争の割合が比較的に大きい。

③被訴侵害主体が多様化し、侵害行為の種類が様々である。被訴侵害主体は、種苗会社、生産を主とする農民専業合作社、家庭農場、米作農家などを含む。侵害行為は、套牌(A品種を、承認された合法的な市場参入資格を持つB品種に偽る詐称行為、又は真正品の種子の外装を切り替えて無断で安売りをする行為)、バグセル(bugsell、販売代理業者が販売代理協議やメーカーの長期利益を無視し、指定した地域外で安売りをする行為)、白皮袋(ラベルや標識無しの包装で種苗を販売する行為)など、種苗の生産経営管理秩序を乱す悪質且つ重大な侵害行為だけでなく、登録品種を利用して育種を改善し、登録品種の繁殖材料を販売するなどの行為も含む。

④事件審理の難題が品種の同一性という技術的事実の認定である。育成者権者が通常、自発的に品種の同一性の鑑定を依頼するため、訴訟の争点は主にサンプリングが合法的であるか否か、サンプルが鑑定条件に合致するか否かなどにある。
 
5)集積回路配置図設計事件の特徴

①件数が多くないが、伸びが顕著である。2019年、法廷が受理した集積回路配置図設計事件は1件しかなかったが、2020年は5件まで増加した。

②係る法律問題が代表的で、複雑である。係る法律問題は、集積回路配置図設計の登記行為の性質、集積回路配置図設計の登記申請の際に提出されたサンプルが権利範囲の確定における役割、集積回路配置図設計の独創性の認定と立証責任などが含まれる。
 
6)技術秘密事件の特徴

①件数の伸びが顕著で、係る技術分野が多い。法廷が受理した技術秘密紛争は2019年の12件から2020年の44件に増加した。係る技術分野は機械、化工、バイオ工学、医療製薬、計算機、通信、機器の自動化などである。

②権利者の立証能力を強化する必要がある。二審で実体処理された技術秘密侵害紛争には、被疑侵害者が非侵害と認定された事件は9件あった。その理由は、権利者がその主張している技術秘密に対して秘密保持措置を講じたこと、又は発明が被疑侵害者に実施されたタイミングの前に、技術秘密が既に形成されたこと、又は技術秘密が侵害されたことを証明できないことなどである。

③係る法律問題が多様化している。営業秘密のポイントと事件の受理条件との関係の明確化問題や、技術秘密のライセンシーが権利侵害訴訟を提起する主体資格などの手続きに関する法律問題だけでなく、秘密保持措置の認定、技術秘密侵害行為の認定、被疑侵害発明が技術秘密を使用したか否かについての認定及び懲罰的賠償の適用などの実体性の法律問題も含まれる。
 
7)コンピュータ・ソフトウェア事件の特徴

①件数が大幅に増加し、種類が比較的に集中している。コンピュータ・ソフトウェア事件は、2019年の142件から2020年の360件に増加し、増幅が154%である。事件の種類は主にコンピュータ・ソフトウェアの開発契約紛争と著作権侵害紛争で、それぞれ69%と21%を占めている。

②一審の裁判金額を上訴理由とした事件が多く、調停・取下げ率が比較的に高い。法廷が結審したコンピュータ・ソフトウェアの実体事件は298件で、そのうち、調停・取下げが118件で、40%を占めている。

③事件の争点が比較的に集中し、事実の究明が比較的に複雑である。コンピュータ・ソフトウェアの開発契約紛争における争点は当事者のソフトの開発義務の履行及び違約責任の負担の有無にあり、著作権侵害紛争での争点は被疑侵害ソフトウェアと権利ソフトウェアとの技術対比に集中している。
 
8)独占禁止事件の特徴

①件数の増加が明らかで、実体事件の割合が大きい。法廷が受理した独占禁止紛争は2019年の9件から2020年の30件に増加した。そのうち、実体事件は25件であった。

②事件の係る業界又は分野が比較的に広い。伝統的な分野だけでなく、医薬、計算機、電力供給、情報ネットワーク、建築材料、セキュリティ用品など現代的な新しい技術分野にも関わっている。そのうち、情報通信技術に係る独占禁止紛争が多い。

③事件の種類は多様化している。法廷が受理した市場支配的地位の濫用に係る紛争は8件、独占契約紛争は6件、その他の独占紛争を事件の事由とする事件は16件であった。
 
ニュースソース:最高人民法院知識産権法廷
日付:2021年2月26日


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