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面接審査に関するアンケート調査結果の集計と分析


北京林達劉知識産権代理事務所

本アンケート調査の対象者は、中国特許庁実体審査部門の現職の審査官でした。回収した70票のうち、有効票数は65票です。この65票の有効調査票について集計して分析した結果は以下のとおりです。
 
1.技術分野の分布

本調査は、電気・電子、機械、化学の3分野に関わっています。そのうち、電気・電子分野17人、機械分野17人、化学分野31人です。
 


2.勤務期間の分布
 
勤務期間が1~2年の審査官は27人います。そのうち、電気・電子分野12人、機械分野7人、化学分野8人です。
勤務期間が3~4年の審査官は27人います。そのうち、電気・電子分野3人、機械分野10人、化学分野14人です。
勤務期間が5年以上の審査官は11人います。そのうち、電気・電子分野2人、機械分野0人、化学分野9人です。


3.調査項目――面接に対する態度

① 設問

出願人から面接を請求された場合、通常、当該請求を受け入れますか?
A.全部受け入れる
B.ほとんど受け入れる
C.ほとんど受け入れない
D.全部受け入れない
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D
電気・電 / 12 5 /
1~2年 / 1 2 /
3~4年 / 1 2 /
5年以上 / 1 1 /
1 11 6 /
1~2年 / 4 3 /
3~4年 / 7 3 /
化学 1 2 1 /
1~2年 / 2 6 /
3~4年 1 1 3 /
5年以上 / 8 1 /
全部 1 43 21 /
1~2年 / 16 11 /
3~4年 1 18 8 /
5年以上 / 9 2 /
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、審査官方は面接に対して、拒否の態度を持っていません。まず、「全部受け入れない」を選択した審査官がいませんでした。また、多くの審査官は「ほとんど受け入れる」を選択しました。つまり、通常、出願人が面接を請求すれば、審査官に受け入れられる可能性が高いです。
 
4.調査項目――面接のタイミング

① 設問

通常、第何回拒絶理由通知書の発行後、自ら出願人に面接を要求する可能性がありますか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.第1回拒絶理由通知書の発行後
B.第2回拒絶理由通知書の発行後
C.第3回拒絶理由通知書の発行後
D.通知書の発行回数にかかわらず、必要だと思う場合に行う
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D 自ら要求しない
電気・電 1 8 8 2 /
1~2年 / 6 6 1 /
3~4年 1 1 / 1 /
5年以上 / 1 2 / /
2 6 2 7 /
1~2年 1 1 1 4 /
3~4年 1 5 1 3 /
化学 3 13 3 11 1
1~2年 2 2 1 2 1
3~4年 1 3 1 9 /
5年以上 / 8 1 / /
全部 6 27 13 2 /
1~2年 3 9 8 7 1
3~4年 3 9 2 13 /
5年以上 / 9 3 / /
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、「第1回拒絶理由通知書の発行後」に面接を行う審査官が少なく、多くの審査官は「第2回拒絶理由通知書の発行後」に面接を考えます。また、必要に応じて適時に面接を行う審査官もいます。
 
5.調査項目――面接で解決できる問題

① 設問

通常、どのような不備について面接により検討したほうがよいと思いますか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.請求項が新規性または進歩性を有しない
B.明細書の開示が不十分である
C.特許請求の範囲が明細書にサポートされていない
D.特許法第25条に規定する特許を受けることができない客体に該当する
E.独立請求項が必須の構成要素を欠いている
F.出願が発明の定義に適合しない
G.発明が単一性の要件を満たしていない
H.出願書類に対する補正は当初の明細書及び特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱している
I.出願書類の記載が記載要件を満たしていないなど方式上の不備
J.その他             
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D E F G H I J
電気・電 5 8 11 1 2 / / / 3 /
1~2年 3 4 8 1 2 / / / 2 /
3~4年 2 2 1 / / / / / 1 /
5年以上   2 2 / / / / / / /
11 11 5 1 6 / 3 1 1 2
1~2年 4 5 2 / 4 / 2 4 / /
3~4年 7 6 3 1 2 / 1 6 1 2
化学 14 11 14 / 1 2 1 8 11 1
1~2年 2 3 3 / 1 1 / 3 3 1
3~4年 8 3 8 / 6 1 / 1 5 /
5年以上 4 5 3 / 3 / 1 4 3 /
全部 3 3 3 2 18 2 4 18 15 3
1~2年 9 12 13 1 7 1 2 7 5 1
3~4年 17 11 12 1 8 1 1 7 7 2
5年以上 4 7 5 / 3   1 4 3 /
 

そのうち、上記選択肢「J.その他」には、「書面または電話による交流が不便である」、「出願の発明が不明確なので、理解できない」、「その他の形では解決できない問題があるか、または交流がうまくできない場合、面接を行う」などが記入されています。
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、特許出願に「請求項が新規性または進歩性を有しない」、「明細書の開示が不十分である」と「特許請求の範囲が明細書にサポートされていない」という不備がある場合、ほとんどの審査官は面接により検討したほうがよいと思っているようです。また、「独立請求項が必須の構成要素を欠いている」と「出願書類に対する補正は当初の明細書及び特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱している」という不備がある場合、面接により検討したほうがよいと思う審査官もいます。さらに、化学分野の審査官は、「出願書類の記載が記載要件を満たしていないなど方式上の不備」についても面接により検討したほうがよいと思っているようです。
 
6.調査項目――面接を行う目的

① 設問

面接のメリットについてどう考えますか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.出願書類の不備について、速く出願人と同じ認識に達することにより、審査作業を早くすることができる
B.技術を正確に理解することに役立つため、審査の正確度を高めることができる
C.出願人に拒絶理由の具体的な意味を理解してもらうことにより、応答書の対象ずれによる拒絶理由通知書の再発行を回避することができる
D.書面審査のかわりに面接審査を行うことにより、審査期間を短縮することができる
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D
電気・電 14 11 12 1
1~2年 1 7 9 1
3~4年 2 2 1 /
5年以上   2 2 2 /
11 1 14 /
1~2年 4 3 6 /
3~4年 7 7 8 /
化学 23 22 23 8
1~2年 6 3 6 2
3~4年 11 12 12 4
5年以上   6 7 5 2
全部 48 43 49 9
1~2年 2 13 21 3
3~4年 2 21 21 4
5年以上   8 9 7 2
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、ほとんどの審査官の面接を行う目的は「A」、「B」、「C」にあります。つまり、出願人と面接することにより、双方とも自分の考えを迅速かつ正確に相手に理解してもらうことができるため、審査の順調な進行に役立つと、ほとんどの審査官は思っているようです。
 
7.調査項目――面接の出席者に対する要求

① 設問

出願人が代理人に依頼している場合、誰に面接に出席してほしいですか。
A.代理人の弁理士だけ
B.出願人と代理人の弁理士
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B
電気・電 11 6
1~2年 8 4
3~4年 1 2
5年以上   2 /
2 15
1~2年 1 6
3~4年 1 9
化学 4 27
1~2年 2 6
3~4年 / 14
5年以上   2 7
全部 17 48
1~2年 11 16
3~4年 2 25
5年以上   4 7
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、ほとんどの審査官は、出願人が代理人の弁理士と一緒に面接に出席することを希望しています。これに対して、電気・電子分野の審査官は異なる考え方を持っており、その多くは弁理士のみが面接に出席すればいいと思っているようです。上記相違は技術分野の相違によるものだと思われます。
 
8.調査項目――審査官の自ら面接を要求する原因

① 設問

出願人に面接を要求する場合、その原因は何でしょうか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.当該出願は登録の可能性があるため、面接により審査の手続きを簡素化することができる。
B.発明の具体的内容をさらに詳しく知る必要がある。
C.拒絶理由通知書で解決できない問題がある。例えば、       。
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C *自ら要求しない
電気・電 12 5 1 /
電気・電子1~2年 9 3 1 /
電気・電子3~4年 1 2 / /
電気・電子5年以上   2 / / /
9 8 7 /
機械1~2年 5 2 2 /
機械3~4年 4 6 5 /
化学 2 13 5 /
化学1~2年 6 3 / 1
化学3~4年 9 7 1 /
化学5年以上   5 3 4 /
全部 41 26 13 /
1~2年 2 8 3 /
3~4年 14 15 6 /
5年以上   7 3 4 /
 

そのうち、上記選択肢Cの「例えば」には、「出願人は特許法を理解していない」や「登録の可能性があるが、いくら説明しても出願人は受け入れない」などが記入されています。

*「自ら要求しない」は個別の審査官が自ら調査票に書き加えたものです。
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、ほとんどの審査官は、当該出願が登録の可能性があると判断した場合、出願人に面接を要求して審査の手続きの簡素化を図ります。また、発明の具体的内容をさらに知る必要があると思うため、面接を要求する審査官もいます。
 
9.調査項目――面接前の準備に関する要求

① 設問

出願人にどのような面接準備をしてほしいですか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.面接時にはっきり説明できるように、技術内容を十分理解しておく
B.面接において説明しようとする内容について事前に意見書を用意しておき、面接後に直接提出する
C.出願書類の不備について、検討時の参考に供するための修正案を事前にいくつか用意しておく
D.準備する必要がない
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D
電気・電 13 3 7 /
1~2年 9 2 5 /
3~4年 2 1 2 /
5年以上   2 / / /
11 7 8 /
1~2年 3 4 3 /
3~4年 8 3 5 /
化学 13 9 21 /
1~2年 3 5 5 /
3~4年 1 4 12 /
5年以上   7 4 4 /
全部 44 23 36 /
1~2年 15 11 13 /
3~4年 2 8 19 /
5年以上   9 4 4 /
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、面接の効率と効果を向上させるために、審査官はすべて、出願人が面接の前に十分な準備をすることを希望しています。特に、「技術内容を十分理解しておく」、「修正案を十分用意しておく」ことを希望しています。
 
10.調査項目――面接後の対応に関する要求

① 設問

通常、面接後に出願人にどのような対応を要求しますか。
A.面接の結果に基づいて、直ちに応答書を作成して提出する。
B.いかなる対応も行わずに審決を待つ。
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B
電気・電 15 2
1~2年 11 1
3~4年 2 1
5年以上   2 /
16 1
1~2年 7 /
3~4年 9 1
化学 26 5
1~2年 6 2
3~4年 12 2
5年以上   8 1
全部 57 8
1~2年 24 3
3~4年 23 4
5年以上   1 1
 
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、ほとんどの審査官は面接後に、出願人が面接の結果に基づいて直ちに応答書を作成して提出することを希望しており、再度拒絶理由通知書を発行することを希望しません。その意図は、通知書の余計な発行や郵送を回避し、審査期間を短縮させることにあると思われます。
 
11.調査項目――審査官の自ら電話交流を行う目的

① 設問

電話交流の形で出願人に連絡する場合、通常、解決したい問題は何でしょうか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.出願書類の技術用語があまり正確ではなく、またはセンテンスが分かりにくい。
B.書き間違いなどの出願書類に存在している明らかなミス。
C.出願人が提出した応答書から、拒絶理由を正確に理解してもらっていないことに気付いたため、電話で出願人に説明する。
D.その他          
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D
電気・電 7 5 12 1
1~2年 4 3 9 1
3~4年 3 2 1 /
5年以上   / / 2 /
9 13 11 /
1~2年 2 5 4 /
3~4年 7 8 7 /
化学 13 15 1 1
1~2年 4 5 2 /
3~4年 9 1 8 1
5年以上   7 5 6 1
全部 36 33 39 2
1~2年 1 13 15 1
3~4年 19 2 16 /
5年以上   7 / 8 1
 

そのうち、上記選択肢Dの「その他」には、「補正後の書類の完全性またはページのつながりが悪い」などが記入されています。
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、電話交流の目的はいろいろあります。分かりにくいセンテンスや書き間違いなど方式上の不備について意見交換をする場合もあれば、正確に理解してもらっていない部分について出願人に説明する場合もあります。また、その他の問題についての意見交換もあります。つまり、電話交流が簡単かつ迅速な方法なので、審査官は電話により一部の方式上の問題を解決し、または一部の意思伝達上の問題を解決することができると思っているようです。
 
12.調査項目――出願人からの電話に対する態度

① 設問

出願人から電話がかかってきた場合、通常、どのように対応しますか。(1つ以上の選択肢を選択してもよい)
A.出願人と意見交換して応答に関するアドバイスをし、かつ交流の内容を記録する。
B.出願人と意見交換して応答に関するアドバイスをする。ただコンサルティングとして扱い、交流の内容を記録しない。
C.出願人の説明を聞くが、応答に関するアドバイスをしない。交流の内容を記録する。
D.出願人の説明を聞くが、応答に関するアドバイスもせず、交流の内容も記録しない。
E.その他       
 
② 調査結果
 
類別と選択肢 A B C D E
電気・電 11 6 / 2 /
1~2年 9 4 / 1 /
3~4年 / 2 / 1 /
5年以上   2 / / / /
3 12 1 2 /
1~2年 1 5 1 / /
3~4年 2 7 / 2 /
化学 3 22 3 1 1
1~2年 1 4 1 / /
3~4年 1 13 / / /
5年以上   1 5 2 1 1
全部 17 4 4 5 1
1~2年 11 13 2 1 /
3~4年 3 22 / 3 /
5年以上   3 5 2 1 1
 

そのうち、上記選択肢Eの「その他」は「出願人と意見交換し、必要に応じて応答に関するアドバイスをする。通常、交流の内容を記録しない」や「検討の内容によって取り扱い方を決める。書き間違いなど明らかなミスについてアドバイスをする」などが記入されています。
 
③ 調査結果の分析

上記調査結果から明らかなように、ほとんどの審査官は出願人からの電話があった場合、出願人と意見交換して、応答に関するアドバイスをしますが、ただコンサルティングとして扱い、交流の内容は記録しません。また、記録をする審査官もいますが、主として勤務期間が1~2年の審査官です。

 
 (2007年)


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©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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