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最高人民法院による知的財産権の懲罰的賠償に関する司法解釈が発表 深刻な知的財産権侵害行為を法律に基づき処罰


2021年3月3日、最高人民法院は「最高人民法院による知的財産権侵害民事事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」(以下、「解釈」をいう)を発表した。
 
「解釈」は知的財産権民事事件における懲罰的賠償の適用範囲、故意と情状深刻の認定、算定基準、倍数の確定などについて、具体的に規定した。「解釈」は裁判基準を明確し、各級法院が懲罰的賠償を正確に適用するようと指導し、深刻な知的財産権侵害行為を処罰することを目的としている。「解釈」の発表は懲罰的賠償制度の実施に関する重要な措置であり、人民法院が知的財産権の司法保護を全面的に強化する決意を示すものであり、科学技術イノベーションの法治環境のさらなる最適化に重要な意義がある。
 
「最高人民法院による知的財産権侵害民事事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」は2021年2月7日に最高人民法院審判委員会第1831次会議で可決され、公布され、2021年3月3日より施行される。
 
                                  最高人民法院
                                 2021年3月2日
 
 
法釈(2021)4号
 
最高人民法院
知的財産権侵害民事事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈
 
(2021年2月7日最高人民法院審判委員会
第1831次会議で可決、2021年3月3日より施行)
 
 
知的財産権の懲罰的賠償制度を正確に実施し、深刻な知的財産権侵害行為を法律に基づき処罰し、知的財産権の保護を全面的に強化するため、「中華人民共和国民法典」、「中華人民共和国著作権法」、「中華人民共和国商標法」、「中華人民共和国専利法」、「中華人民共和国反不正競争法」、「中華人民共和国種子法」、「中華人民共和国民事訴訟法」などの関連法律規定に基づき、裁判実務を結びつけ、本解釈を制定する。
 
1 原告は被告がその法律により享有している知的財産権を故意に侵害し、且つ情状が深刻であると主張し、被告に懲罰的賠償責任を負うようと人民法院に請求した場合、人民法院は法律に基づき審理し、処理しなければならない。
 
本解釈がいう故意は、商標法第63条第1項と反不正競争法第17条第3項に規定する悪意を含む。
 
2 原告が懲罰的賠償を請求する場合、提訴する時に賠償額、算定方法及び根拠となる事実と理由を明確しなければならない。
 
原告が一審の法廷弁論が終了前に懲罰的賠償の請求を追加した場合、人民法院は許可しなければならない。原告が二審において懲罰的賠償の請求を追加した場合、人民法院は当事者の意志自由の原則に基づき調停を行うことができ、調停が成立しない場合、当事者に別途提訴するようと、告知する。
 
3条 知的財産権侵害の故意を認定する場合、人民法院は侵害された知的財産権の客体の種類、権利の状態と関連製品の知名度、被告と原告又は利害関係者との間の関係などの要素を総合的に考慮しなければならない。
 
次に掲げることに該当する場合、人民法院は被告が知的財産権侵害の故意を有すると初歩的に認定することができる。
 
1)被告が原告又は利害関係者からの通知、警告を受けた後にも侵害行為を継続的に実施した場合、
 
2)被告又はその法定代表者、管理者が原告又は利害関係者の法定代表者、管理者、実際の支配者である場合、
 
3)被告と原告又は利害関係者との間に、労働、労務、協力、許諾、販売、代理、代表などの関係があり、且つ侵害された知的財産権に触れたことがある場合、
 
4)被告と原告又は利害関係者との間に、取引関係があり、又は契約の締結などのために協議したことがあり、且つ侵害された知的財産権に触れたことがある場合、
 
5)被告が海賊版、登録商標の詐称行為を実施した場合、
 
6)その他の故意と認定することができる場合。
 
4 知的財産権侵害の情状深刻の認定について、人民法院は権利侵害の手段、回数、侵害行為の継続時間、地域的範囲、規模、結果、侵害者の訴訟における行為などの要素を総合的に考慮しなければならない。
 
被告が次に掲げることに該当する場合、人民法院は情状が深刻であると認定することができる。
 
1)権利侵害により行政処罰を受け、又は裁判所の裁判で責任を負わされた後に、再度同一又は類似の侵害行為を実施した場合、
 
2)知的財産権の侵害を業とする場合、
 
3)権利侵害の証拠を偽造、毀損又は隠匿した場合、
 
4)保全裁定の履行を拒否した場合、
 
5)権利侵害により獲得した利益が大きく、又は権利者が蒙った損害が大きい場合、
 
6)侵害行為が国家安全、公共利益又は人の健康を損なう可能性がある場合、
 
7)その他の情状が深刻であると認定できる場合。
 
5 人民法院が懲罰的賠償額を確定する場合、それぞれの関連法律に基づき、原告の実際の損害額、被告の違法所得額又は侵害により得られた利益を算定の基準としなければならない。この基準は原告が侵害行為を制止するために支払った合理的な支出を含まないとし、法律に別段の規定がある場合、その規定に従う。
 
前項でいう実際の損害額、違法所得額、侵害行為により得られた利益のいずれも算定が困難である場合、人民法院は法律に基づき、当該権利の許諾実施料の倍数を参照して合理的に確定し、且つそれを懲罰的賠償額の算定基準とする。
 
人民法院は法律に基づき被告にその把握している侵害行為に関わる帳簿、資料の提出を命じ、被告が正当な理由なく提出を拒否し、又は虚偽の帳簿、資料を提出した場合、人民法院は原告の主張と証拠を参考して懲罰的賠償額の算定基準を確定することができる。民事訴訟法第111条に規定する状況に該当する場合、法律に基づき法的責任を追究する。
 
6 人民法院は法律に基づき懲罰的賠償の倍数を確定するとき、被告の主観的過錯の程度、侵害行為の情状の深刻さの程度などの要素を総合的に考慮しなければならない。
 
同一の侵害行為で既に行政罰金又は刑事罰金が科され、且つ執行が完了したことで、被告が懲罰的賠償責任の減免を主張した場合、人民法院はそれを支持しない。ただし、前項でいう倍数を確定する時に総合的に考慮することができる。
 
7 本解釈は2021年3月3日より施行する。最高人民法院が以前に発表した関連の司法解釈が本解釈と一致しない場合、本解釈に準ずる。
 
ニュースソース:最高人民法院
日時:2021年3月3日
 
 


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