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国家知識産権局による「医薬品特許紛争の早期解決体制の行政裁決方法」 の公布に関する公告(第435号)


知的財産権の保護の全般的な強化に関する党中央、国務院の政策決定を徹底して実施し、特許権者の適法な権益を保護し、医薬の研究開発を奨励し、医薬品承認審査における特許紛争の行政裁決事件を適正に処理するため、国家知識産権局は「中華人民共和国特許法」及び関係法律・法規・規則に基づき、「医薬品特許紛争の早期解決体制の実施措置(試行)」の規定に合わせて「医薬品特許紛争の早期解決体制の行政裁決方法」を策定した。同方法を以下のとおり公布し、公布の日から施行する。
国家知識産権局
2021年7月5日
 
医薬品特許紛争の早期解決体制の行政裁決方法
 
1 医薬品承認審査における特許紛争の行政裁決(以下、「医薬品特許紛争行政裁決」という。)事件を法律に基づいて処理するため、「中華人民共和国特許法」(以下、「特許法」という。)及び関係法律・法規・規則に基づき、本方法を定める。

2 国家知識産権局は、特許法第76条に掲げる行政裁決の処理を担当する。

国家知識産権局は、医薬品特許紛争の早期解決体制行政裁決委員会を設立し、医薬品特許紛争の早期解決体制の行政裁決に関する活動を展開・実施させる。

3 事件の処理担当者は、次に掲げる事情のいずれかがある場合には、自発的に回避しなければならない。

(1)当事者又はその代理人の近親者である場合。
(2)特許出願又は特許権と利害関係がある場合。
(3)当事者又はその代理人とその他の関係があり、事件処理の公正を妨げる可能性がある場合。

当事者も、処理担当者の忌避を申し立てる権利がある。当事者は、忌避を申し立てる場合、理由を説明しなければならない。

処理担当者の忌避は、事件処理の担当部門により決定される。

4 当事者が国家知識産権局に医薬品特許紛争の行政裁決を申請する場合、下記要件を満足しなければならない。

(1)申請者は、特許法第76条に掲げる医薬品販売承認申請者、かかる特許権者又は利害関係者であること。ここで、利害関係者とは、かかる特許の被許諾者又は登録済の医薬品販売承認保持者をいう。
(2)明確な被申請者が存在すること。
(3)明確な申請事項及び詳細な事実、理由があること。
(4)かかる特許情報が中国販売医薬品特許情報登録プラットフォームに登録されており、かつ、「医薬品特許紛争の早期解決体制の実施措置」の規定に適合すること。
(5)当該医薬品特許紛争について、裁判所に受理されていないこと。
(6)医薬品販売承認申請者が行政裁決申請を行う場合、国家医薬品審査評価機関が医薬品販売承認申請を公開した日から45日以内に、特許権者又は利害関係者が当該医薬品特許紛争について裁判所への提訴又は行政裁決申請を行っていないこと。
(7)一の行政裁決申請は、一の販売承認申請に係る医薬品の技術が一の特許の範囲内であるかに関する確認に限ること。

5 特許権者又は利害関係者が、販売承認申請に係る医薬品のかかる技術が、かかる特許の範囲内であることに関する確認を申請する場合、医薬品販売承認申請者を被申請者としなければならない。
特許権が複数の特許権者の共有である場合、特許権者全員で申請を行うものとするが、共有者の一部が、かかる実質的権利を放棄する意思を明かした場合はこの限りでない。
医薬品販売承認保持者又は独占実施許諾契約の被許諾者は、自らの名義で申請することができる。排他的実施許諾契約の被許諾者は、特許権者が申請を行わない場合、自らの名義で申請することができる。

6 医薬品販売承認申請者が、販売承認申請に係る医薬品のかかる技術が、かかる特許の範囲外であることに関する確認を申請する場合、特許権者を被申請者としなければならない。

7 国家知識産権局に医薬品特許紛争の行政裁決を申請する場合、申請書及び下記資料を提出しなければならない。
(1)主体資格の証明。
(2)中国販売医薬品特許情報登録プラットフォームにおけるかかる特許の登録情報、国家医薬品審査評価機関の情報プラットフォームに公開された医薬品販売承認申請及びかかる特許の範囲外である旨の宣言並びに宣言の根拠。
(3)申請者が医薬品販売承認申請者である場合、承認申請に係る医薬品に関する技術も提出すること。かかる技術が秘密情報に関わる場合、単独で提出してその旨説明すること。

8 申請書に下記の事項を明記しなければならない。
(1)申請者の氏名又は名称、住所、法定代表者又は担当者の氏名、電話番号、代理人に委任した場合の代理人の氏名及び代理機関の名称、住所、電話番号。
(2)被申請者の氏名又は名称、住所、法定代表者の氏名、電話番号及びその他の事項。
(3)中国販売医薬品特許情報登録プラットフォームに登録された関連特許情報、すなわち、特許番号、特許のカテゴリー、特許の状態、特許権者、特許存続期間の満了日を含む情報、及び、権利範囲の属否判断を求める請求項の番号。
(4)国家医薬品審査評価機関の情報プラットフォームに公開された承認申請に係る医薬品の関連情報及び宣言のカテゴリー。
(5)承認申請に係る医薬品の技術がかかる特許の範囲内であるかに関する理由。
(6)証拠資料リスト。
(7)申請者又は特別権限を持つ代理人の署名(自然人)又は捺印(法人及びその他の組織)。かかる証拠及び証明資料は申請書の添付資料として提出することができる。

9 国家知識産権局は申請書及び関連資料を受け取った後、登録を行うとともに申請書等の資料を審査しなければならない。申請書及び関連資料が不完全であったり、申請書が所定の書式や所定の書き方でなかったりした場合、申請者に5営業日以内に補正するよう通知しなければならない。期間を経過しても補正をしていないか、又は補正後のものにも不備がある場合、当該行政裁決申請は受理されない。

10 医薬品特許紛争の行政裁決申請が、下記のいずれかに該当する場合、国家知識産権局は受理せず、申請者に通知する。
(1)申請書に申請者の氏名又は名称、連絡先などの基本情報がないか、又は特許情報がない場合。
(2)被申請者が不明確である場合。
(3)申請者及び被申請者の主体資格が本方法第4、5、6条の規定に適合しない場合。
(4)対象特許が、中国販売医薬品特許情報登録プラットフォームに登録する特許のカテゴリーに該当しないか、又は対象特許が宣言Ⅳにおける特許に一致しない場合。
(5)対象特許のかかる請求項が国家知識産権局に無効とされた場合。
(6)申請書に対象請求項及び行政裁決を求める具体的な事項が明示されていない場合。
(7)申請者が行政裁決理由を説明していないか、又は、提出する証拠に基づいて説明していない場合。
(8)一の行政裁決申請が、一以上の販売承認申請に係る医薬品の技術又は一以上の特許に関する場合。
(9)同じ医薬品特許紛争が裁判所に受理された場合。

11 当事者の申請が本方法第4条に規定する要件を満足する場合、国家知識産権局は5営業日以内に受理し、申請者及び被申請者に通知しなければならない。

12 国家知識産権局は、当事者の請求又は事件処理の必要に応じて、かかる証拠について医薬品監督管理部門に確認することができる。

13 国家知識産権局は、事件を審理する合議体を設けなければならない。当事者の申請及び事件の状況に応じて、合議体は口頭審理又は書面審理を行うことができる。
同じ当事者が、同じ医薬品に関する複数の特許について、複数の行政裁決申請を行った場合、国家知識産権局は併合審理することができる。
国家知識産権局は、口頭審理の実施を決定した場合、少なくとも口頭審理の5勤務日前までに口頭審理の日時、場所を当事者に通知しなければならない。申請者が正当な理由なく出席しないか、又は許可なしに途中で退席した場合、その申請は取り下げられたとみなす。被申請者が正当な理由なく出席しないか、又は許可なしに途中で退席した場合、欠席審理を行う。

14 医薬品特許紛争の行政裁決事件処理中に、対象特許のかかる請求項の一部が国家知識産権局に無効とされた場合、有効とされた請求項に基づいて行政裁決を行う。対象特許所のかかる請求項がすべて国家知識産権局に無効とされた場合、行政裁決申請を却下する。

15 国家知識産権局は、国家知識産権局は、医薬品特許紛争の行政裁決事件の処理において、当事者の意思に応じて調停を行うことができる。調停の結果、当事者間で合意に達した場合、国家知識産権局は当事者の請求に応じて調停書を発行することができる。調停で解決できない場合、国家知識産権局は適時に行政裁決を行わなければならない。

16 次に掲げる事情のいずれかがある場合、当事者は事件処理の中断を申請することができ、国家知識産権局も職権により事件処理の中断を決定することができる。
(1)当事者の一方が死亡し、相続人の事件処理に参加するかに関する意思表示を待つ必要がある場合。
(2)当事者の一方が行政裁決申請に係る行為能力を喪失し、法定代理人が決まっていない場合。
(3)当事者の一方である法人又はその他の組織が消滅し、権利義務の承継者が決まっていない場合。
(4)当事者の一方が不可抗力事由により審理に参加できない場合。
(5)処理中断が必要になるその他の場合。

当事者が対象特許に対する無効審判請求を行った場合、国家知識産権局は事件処理を中断しなくてもよい。

17 国家知識産権局が行政裁決を行う前に、申請者はその申請を取り下げることができる。申請者がその申請を取り下げたか、又はその申請がみなし取り下げとなった場合、医薬品特許紛争の行政裁決手続きは終了する。
申請者が行政裁決の結論の発表後にその申請を取り下げる場合、行政裁決の効力は影響されない。

18 国家知識産権局が行政裁決を行う場合、販売承認申請に係る医薬品の技術がかかる特許の範囲内であるかについて、理由及び根拠を説明して認定をしなければならない。
行政裁決は発行後、当事者に発送し、国家医薬品監督管理部門にも送付するとともに、「政府情報公開条例」及び関係規定に基づいて一般向けに公開しなければならない。行政裁決は公開時に、営業秘密に関わる情報を削除しなければならない。

19 当事者は、国家知識産権局による医薬品特許紛争の行政裁決を不服とする場合、法律に基づいて裁判所に提訴することができる。

20 当事者は、提出した証拠又は証明資料の信ぴょう性について責任を負う。
当事者は、行政裁決手続きにおいて知り得た営業秘密について守秘義務がある。その営業秘密を無断に開示したり、使用したり、他人に使用させたりした場合、それ相応の法的責任を負担しなければならない。

21 医薬品特許紛争の行政裁決事件の処理担当者及びその他の係員が職権の乱用、職務怠慢、依怙贔屓をしたり、事件処理中に知り得た営業秘密を漏洩したりした場合、犯罪にならない者に対しては、法律に基づいて政務処分を与えるが、犯罪の疑いがある者に対しては、その処理を司法機関に移管する。

22 本方法に定めがないものについては、「特許行政法執行方法」及び特許権侵害紛争の行政裁決に関する国家知識産権局の規定に従って扱う。

23 本方法は国家知識産権局により解釈される。

24 本方法は公布の日から施行する。
2021年7月5日
国家知識産権局より
 
 


ホットリンク:北京魏啓学法律事務所
©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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