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無効審判で意匠特許「ゲーム機」の有効性を維持


意匠と公知意匠との類否判断をする場合、全体の視覚的効果から公知意匠に対して、顕著な影響を与えるか否かから判断すべきである。

概要:

無効審判請求人が、名称が「ゲーム機」である第200830127376.4号意匠特許に対して、無効審判請求を提起した。弊所は意匠権者に依頼され、本事件の無効審判請求の関連業務を代理した。中国特許庁特許審判委員会は、「本件意匠と公知意匠1及び2との差異点は、本件意匠が、公知意匠1及び2に対する全体の視覚的効果に顕著な影響を与えるため、本件意匠は、公知意匠1及び2と同一でも類似でもない」と認定し、本件意匠特許に対して有効審決を下した。

本事件のポイント:

①請求人は無効審判請求書において、「本件意匠は、証拠1~証拠3における公知意匠構成の簡単な組み合わせであるため、新規性を有しない」と主張した。弊所が提出した意見陳述書において、「本無効審判請求の理由は法律条項の適用が誤っている。意匠の類否判断時に、請求人が提出した3つの証拠をそれぞれ本件意匠と比較すべきである」と指摘し、特許審判委員会に認められた。

②請求人は「本件意匠と公知意匠とは主なデザイン構成が集中する正面がほぼ同一であるため、両者は類似している」と主張した。それに対して、弊所は、「本件意匠は、全体的に『複数の立方体の独自な形態による有機的な組合わせ』というイメージの斬新なデザインで、かつ独自な視覚的効果を有し、証拠1~3のいずれとも明らかな差異を有するため、意匠権を有効とすべきである」と主張し、特許審判委員会に認められた。

③口頭審理において、請求人は、意匠特許権者が広州市知識産権局に提出した『処分請求書』のコピーを証拠4として提出し、意匠特許権者が証拠4の3~5ページにおいて、使用者が使用時にゲーム機の正面に立つので、正面から比較判断すべきで、側面から使用するときは注意されにくくなると強調していることを指摘した。弊所は「証拠4は、意匠特許権者が侵害訴訟に提出した証拠であり、証拠4と証拠2、証拠3との意匠には関連性がない。意匠について、全体的に観察し、総合的に判断するという手法で類否判断を行うべきである。つまり、物品の全体の外観から総合的に判断すべきであり、意匠特許権者の侵害訴訟事件において陳述した意見を特許審判委員会が意匠が同一か類似かを判断する原則としてはならない。」と主張し、特許審判委員会に認められた。意匠の同一又は類似判断をする基準を深く検討し、答弁時の論理性、証拠、説得力があったことが、本事件の勝利のポイントとなったことが分かる。


ホットリンク:北京魏啓学法律事務所
©2008-2025 By Linda Liu & Partners, All Rights Reserved.
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