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中国特許法第46条の改正動向について


北京林達劉知識産権代理事務所

先ごろの中国特許法改正過程において、「特許裁判所」又は「知的財産権裁判所」の設置の是非について、または特許権の無効審判の審決に不服があり提起した訴訟に、特許審判委員会が被告として参加する必要があるかどうかなどの問題点について検討されましたが、中国特許法改正草案の審議用草案が国務院に提出された時点では、その関係条項の修正は含まれていませんでした。

ところが、最新の中国特許法改正草案によると、関係条項が修正されています。以下、現行の条項と比較しながら簡単にご説明させていただきます。また、上記条項の修正については、筆者にもまだ幾つかの疑問点がございますので、読者の皆様と共に検討させていただければ幸いに存じます。

現行中国特許法第46条

特許審判委員会は、特許権の無効審判請求について、速やかに審査して審決を下し、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。特許権無効審決は、国務院特許行政部門より登録し公告する

特許審判委員会の特許権の無効審決、または特許権の維持審決に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に、裁判所に提訴することができる。裁判所は、無効審判請求の相手側当事者に対して、第三者として訴訟に参加するように通知しなければならない。

改正前後における比較


 
最新中国特許法改正草案第47条

特許審判委員会は、特許権の無効審判請求について、速やかに審査して審決を下し、かつ請求人及び特許権者に通知しなければならない。

特許審判委員会の特許権の無効審決、または特許権の維持審決に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に、『中華人民共和国民事訴訟法』に基づいて、裁判所に控訴することができる。

無効審決は、国務院特許行政部門より登録し公告する。

上記修正箇所について、以下の通り簡単に分析し、疑問点を提示いたします。

1.無効審判の審決に不服があるときに提起する訴訟の種類を変更したことについて

現行中国特許法及び行政訴訟法の規定によれば、特許審判委員会の無効審決又は維持審決について提起された訴訟(特許の確認訴訟)は、行政訴訟の範疇に入ります。ところが、最新の中国特許法改正草案では、上記訴訟について、『民事訴訟法』に基づいて訴訟を提起すると明確に規定されています。すなわち、このような訴訟は「民事訴訟」に分類されることになります。

疑問点:司法手続きにおいて、無効審判の審決に対して審査を行う必要があるのでしょうか。裁判所は、特許権の無効審決または維持審決を直接下すことができるのでしょうか。

2.「提訴」を「控訴」に変更したことについて

一般的な認識では、「提訴」とは、当事者が法律に基づいて裁判所に訴訟を提出する行為であり、「控訴」とは、第一審裁判所の判決(未発効)に不服のある当事者が、法定期間内に上級裁判所に第一審裁判所が認定した事実と法律の適用について審理するように請求する訴訟行為です。この認識に基づけば、特許審判委員会による審査手続を準司法手続とみなすと、それは第一審手続に相当することになります。
 
疑問点:特許審判委員会により下される審決は第一審判決としての効力を有するのでしょうか。

3.「第三者」に係る規定を削除したことについて

「裁判所は、無効審判請求の相手側当事者に対して、第三者として訴訟に参加するように通知しなければならない」という条項を削除しました。

疑問点:裁判所は第三者に対して訴訟に参加するように通知するのでしょうか、通知しないのでしょうか。通知する場合、第三者には特許審判委員会が相当するのでしょうか。
 
(2008)

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