先日、弊所と北京魏啓学法律事務所が共同で担当した、約7年に......
商標行政復議とは、公民、法人又はその他の組織が、国家知識......
中国新『商標法』における主要な改正点のまとめ


2019年版『商標法』(以下、『現行商標法』という)と2026年版『商標法』(以下、『新商標法』という)の法律条文は、8章73条から9章87条へと変更され、これは中国における商標法の枠組みが、「登録重視」から「使用義務の強化」へと移行する傾向を反映している。主な改正点は以下の通りである。
 
1、商標の使用に関する定義に、インターネットでの使用が追加されること
 
• インターネット環境における商標の使用に関する規定が追加される:「商標の使用」には、インターネットなどの情報ネットワークを通じて行われる使用行為が含まれることが明確に定められる。この変化は、商標不使用取消請求および商標権侵害訴訟において、積極的な影響をもたらし、現行実務の運用と一致しているので、実務の運用に法的根拠を提供したと考えられる。(新『商標法』第2条)
 
2、登録可能な商標対象が拡大されること
 
• 動き標章の新規追加:デジタル経済発展に応じて、動き標章を登録可能な商標の範囲に明確に含めることとなり、ショートビデオ、アプリ/動画作品のオープニング画面、スマート端末のインタラクティブインターフェースなど、動き標章の保護に対する法的根拠が提供される。動き商標の導入により、非伝統的商標の種類がもう1つ追加され、その識別力(すなわち、商品や役務の出所を区別する役割を果たせるかどうか)に関する審査は比較的に厳格になると予想される。(新『商標法』第14条、第18条)
 
3、馳名商標の保護を強化すること
 
• 登録されていない馳名商標に対する拡大保護:同一又は類似しない商品において冒認出願された商標を禁止する範囲は、登録されていない馳名商標まで拡大する。即ち、中国で登録されたか否かを問わず、すでに馳名商標に至った場合、他者の同一又は類似しない商品においても不正な先取登録行為に対して権利を主張できる。登録されていない馳名商標の所有者に対する保護が顕著的に強化される。(新『商標法』第21条)
 
4、権利付与と権利確認の手続きを最適化すること
 
• 異議申立期間の短縮:予備的査定公告された商標に対する異議申立期間を、現在の3ヵ月から2ヵ月に短縮することにより、商標登録期間が短縮され、登録効率が高められる。(新『商標法』第36条)
 
• 審査手続きの中止審査の規定を明確化:異議申立て、拒絶不服審判請求、登録不許可不服審判請求、無効審判請求などの手続きにおいて、関連する先行権益の確定が、裁判所で現在審理中の別の事件または行政機関で現在処理中の別の案件の結果に基づいて行われる必要がある場合、審査・審理を中止することができる。この条項は、適用可能な案件の種類をさらに明確にし、現在の行政規範性の規定および実務における慣例とも一致している。(新『商標法』第41条)
 
• 「1年間の隔離期間」の適用状況を限定:現行商標法にいう「1年間の隔離期間」は、3種類の状況(取り消される、無効される、未更新により失効される)から、「商標権者の抹消申請」という1種類の状況に限定される。これは、商標登録の効率が高められ、出願人が一日も早く商標権取得のニーズを満足するのに有益だと思われる。しかし、今後、商標出願人は、先行商標の権利者と商標抹消申請を協議して合意した後、「1年間の隔離期間」を待ってから、後願商標は登録になれる。(新『商標法』第49条)
 
5、悪意のある登録出願や訴訟に対して厳しく対処すること
 
「悪意」の認定基準を明確化する:現行商標法における比較的主観的な判断である「使用を目的としない悪意」出願を、「正常な事業運営上の需要を明らかに超える」ものとして数値化・具体化し、判断基準をより客観的なものとする。この改正により、実務において企業の防御商標出願に対する誤った適用を回避できることが期待される。また、現行商標法第44条における「欺瞞的な手段又はその他の不正な手段により取得した登録」の規制対象を、新法の商標登録規制の要件に組み入れ、「欺瞞的な手段又はその他の不正な手段により商標登録出願をしてはならない」ことを明確にした。従来は無効審判請求にのみ適用されていた規定を、出願、異議申立など全手続きに拡張し、悪意に対する打撃を強化する。(新『商標法』第19条)
 
• 行政処分の新設:3種類の典型的な悪意出願行為(第15条(使用禁止条項)、第16条第1項(地名条項)、第19条(使用目的としなく、欺瞞的又はその他の不正的な手段)、第21条(馳名商標)、第22条(代理人・代表者による先取り出願)、第24条(先行権益、先使用により一定の影響を有する未登録商標への先取り出願)に違反する行為を含む)を明確に列挙し、警告及び最高10万元以下の処罰が課される。(新『商標法』第54条)
 
• 悪質訴訟への打撃:「悪意のある商標訴訟」という抽象的な表現を、「悪意のある共謀」「一方的な事実の捏造」という2つの具体的な状況に細分化し、さらに、行為者が相手方に損害を与えた場合は、法律に基づき民事責任を負うべきであることを明確にすることで、司法実務において商標悪意訴訟を的確に認定するためのより明確な裁判基準が提供される。(新『商標法』第81条)
 
6、商標の使用管理を強化すること
 
• 「消費者を誤認させる」商標の使用に関する規制:新たに追加された条項では、公衆に誤認を生じさせる方法で登録商標を使用する行為に対して、是正命令および処罰(違法経営額が5万元以上の場合、最高で5倍の罰金、違法経営額が5万元未満の場合、最高で25万元の罰金)を課すことが規定された。この法条は、主として近年ニュースでしばしば報道される「悪質商標」を規制するものである。このような商標は、出願時にはその不正な目的を隠蔽していることが多いが、実際の使用時には登録商標を他の要素と組み合わせることにより、公衆に商品の機能・用途・原材料などの特徴、または役務の内容などの特徴について誤認を生じさせる。本条項の追加は、市場主体の商標使用に対してより慎重な要求が提示された。(新『商標法』第56条)
 
• 「登録商標の無断変更」に関する処罰規定に罰金の処罰が新設:登録商標、商標権者の名義、住所等を無断で変更した場合の処罰規定について、現行法の「期限を定めて是正を命じる」、「CNIPAによる登録の取消し」に加え、「5万元以下の罰金が課される」という内容が新たに設けられた。この措置は、商標権者が実際のニーズに基づき新たに登録出願を行い、又は変更手続を積極的に行うよう促すことを目的とする。(新商標法第57条第1項)
 
• 家知識産権局による職権での不使用取消手続の追加
 
正当な理由なく継続して3年間使用されていない商標について、国家知識産権局が職権により取り消す権限が付与された。この条項は、「遊休」商標の整理に一定のプラスの効果をもたらす可能性がある一方、一部の企業からは、防御的な目的で登録された商標が無効化されることへの懸念も生じている。(新『商標法』第57条)
 
 • 「正当使用」の範囲を明確化:商品の用途・適用対象・利用シーンなどの情報を単に示すため、または真実の出所を示すためにのみ、関連する登録商標を使用する場合には、登録商標権者は他人の正当な使用を禁止することができない旨が新たに規定された。この条項は、商標の指示的使用が正当使用の抗弁事由となり得ることを明確化したものであるが、混同を生じさせにくいことを前提とする。(新『商標法』第73条)
 
7、侵害賠償と権利保護の仕組みを改善すること
 
• 賠償金の計算順序を調整す:侵害者の得た利益を、権利者の実際の損害と並ぶ第一順位の賠償算定方式に引き上げ、権利者により大きな選択権を付与する。(新『商標法』第77条)
 
• 「三年不使用」の抗弁における時点の明確化:登録商標の商標権者が「この3年以内」の実際の使用を証明する必要がある場合の「この」を、「侵害行為の発生前」と明確に界定する。(新『商標法』第78条)
 
8、中国企業の海外進出を支援すること
 
• 海外商標出願時の新たな支援規定:海外における商標登録出願の審査・審理または商標案件の処理において、当該商標が中国国内において中国の関連公衆に周知されていることを証明する必要がある場合、当事者の請求に応じて、国務院商標管理部門は当該商標の馳名状況について確認することができる。これは、中国企業のグローバル化発展における知的財産権のニーズに的確に応えるものであり、中国の商標法体系が国内での権利保護から越境的な権利保護へと発展したことを示す画期的な進歩である。これにより、中国政府による越境的な馳名商標確認メカニズムが構築され、国家商標管理部門による権威ある認定を通じて、企業は海外における商標の権利保護のために、法的かつ効率的な証拠を提示することができる。(新『商標法』第69条)
 
• 海外商標業務における不正な代理行為に対する処罰規定の新設:詐欺その他の不正な手段を用いて中国国内の委託者のために海外商標登録出願その他の商標に関する手続きを行い、委託者の利益、または国家利益、社会公共利益、他者の合法的権益を損なった場合には、法律に基づき処理・処罰する。これにより、海外商標代理にかかる不正行為に対する監督の空白が補われ、海外商標代理における違反行為の処罰ルールが明確化された。(新『商標法』第69条)
 
9、商標代理機構、商標代理従事者及び商標代理業界団体に対するより厳格な管理規制
 
• 商標代理機関、従事者、および業界団体の義務を明確化:商標代理機構の秘密保持義務、商標が登録できない可能性がある旨を委託者に明確に告知する義務等について明確に規定される。商標代理従事者については、自ら委任を受けてはならず、同時に2つ以上の商標代理機構において商標代理業務に従事してはならない等の明確な規制が設けられる。商標代理業界団体については、会員の受入れ、懲戒処分の執行及びその関連状況を適時に社会に公表することについて明確に規定される。また、商標代理機構及び商標代理従事者が違法行為により処分を受ける場合についても、より厳格な規定が設けられる。(新『商標法』第65条~第68条)
 
10、商標法の条項をより明確に区分すること
 
• 実体的条項と手続き的条項の明確な区分:新『商標法』の第2章には商標登録条件に関する実体規定が集中的に規定され、第3章、第4章、第5章、第6章にはそれぞれ商標登録出願、審査及び許可、更新・変更・譲渡・抹消、並びに無効審判請求の4つの側面から手続規定が規定されている。これは法律条項の設計上、より合理的であり、関連案件において実体規定と手続規定が混用されることを効果的に防止することができる。


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